第12回日本病院学会 病院事務専門集会
病院における給与体系のあり方と実態
石原 信吾
1
1虎の門共済病院
pp.81-89
発行日 1962年11月1日
Published Date 1962/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202012
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病院給与問題の持つジレンマ
給与問題は,あらゆる事業体にとりまして,経営上の一つの中心的な課題であることは申すまでもありませんが,特に病院経営にとりましては,今やこの問題が,その存廃にかかわるほどの重大問題化していることは否定できません。病院は人の働きを中心とするものであること,また複雑な職種構成を持っいること,経営上の原資となる医療費があまりにも低いことなど,そこには,この問題について困難な条件がそろっております。
御承知のように,医療費の改訂は33年10月に甲乙二表ができたときに8.5%,昨年7月に点数改正により12.5%,また12月に緊急是正によって2.3%と,ある程度のアップは行なわれてきておりますけれども,これに対して,給与のほうは先ほどの御発表にもありました通り,非常に上昇の度合いが早くなっております。例えば,各病院の給与に非常に影響力をもつ国家公務員の給与について見てみますと,34年4月に初任給是正がありそれが2.77%,翌年の35年4月に,また中だるみ是正が行なわれて4.37%,引き続いてその10月の全面的なベースアップで12.4%,それから昨年12月にまたベースアップがありまして,これが7.1%というように,医療費をさらに上まわる改訂が行なわれてきております。その結果国立以外の病院でも,それに伴って給与改定が行なわれざるを得ないということで,収益に対する人件費の比率が非常に上がってきております。
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