第20回国立病院療養所総合医学会より
看護教育の問題点
吉武 リウノ
1
1国立福岡中央病院附属高等看護学院
pp.73-76
発行日 1966年4月1日
Published Date 1966/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908849
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昭和20年,国立病院発足に伴い,昭和22年9月から看護学院が開校されました。以来法令の中にも一部改正などがあり,紆余曲折の中で約20年を経過いたしました。現在看護婦数の不足と質の向上から看護制度と共に,看護教育が問題となっております時,過去約20年の教育をふり返り,将来の方向を考えてみたいと思います。最近,看護学生は卒業しても母校にだけ限定して働かない状勢にありますため,従来のようにただその施設の特徴だけの適応性,いいかえますと「自分の施設に使えさえすればよい」主義の狭い意味で教育することは,学生の意欲を喪失させ,将来職業的に不適応を惹起することになってまいります。
保健婦・助産婦・看護婦法では,看護学校養成所指定規則によるカリキュラムは学科教育1150時間以上,実習教育104週以上の二本だてで,内容の幅と深さは各学院の特殊性により異なっております。看護学院は内容の異なる病院または療養所の附属で,教育の場は施設を含めて非常に広いものになってまいりますため,学院のあり方は必然的に違いを生じてまいります。教育の中で最も問題となりますものは,綜合教育のため非常に多くの時間を要する実習教育の効果を高めることで,このことが明らかにならない限り,学生ならびに教育の混乱はさけ難いものがあると考えます。
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