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Doctors' Taperecord
O
pp.67
発行日 1956年11月1日
Published Date 1956/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201169
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相異点
Dr.CrosbyがW.H.Oの委嘱で,来朝され,まだ日本の実状に対して知得の時間のない着陸後2—3日間の会話と講演に接した。従つて,何等遠慮する余地のない白紙の御意見と思われるので,その中から興味深い日本との相異点を記してみたい。1)アメリカの病院協会の一般的な見解として,アメリカの病院は,もう少し外来患者について大きな関心をもつべきであるという意見があること。これは我が国の一般病院のように,入院患者の2—3倍以上の外来を扱つて,色々な問題があることとは,対蹠的な感じがする。病院外来と診療所患者との区分について,日米の根本的な事情の差がある為であろう。2)アメリカの公的病院で最もよいものは,サラリー制度のフルタイムドクター制をとつているものが多くある。これは我が国の殆んど全病院が,医師の月給制によつているのに反して,アメリカの大都会の病院が,病院医師の報酬は,直接入院患者から個々に得ているのと,根本的な違いからくる傾向であろう。3)アメリカの病院経営費の内,人件費は2/3を占めて,残りの1/3がその他の費用であり,しかもこの人件費には,医師の收入を含んでいない。我国では平均して,一般病院では人件費と物件費は1/2宛であり,しかもこの人件費には,医師の給与が全て含まれている。日米間の大きな差であり,これは,その他の企業経営でも同様な差がある宙である。
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