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Doctors' Taperecord
K
,
M
pp.75-76
発行日 1955年5月1日
Published Date 1955/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200961
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人間ドツク
「人間ドツク」は今や医療界の新流行語となつた。機をみるに敏なる製薬会社などは早速自家宣伝に利用し始めている。東一と聖ルカで「人間ドツク」と銘をうつてこの仕事を始めて丁度1年になるが,ドツク入り希望者は益々増加の傾向にあつて両院共1年先まで予約済みとある。一つには受入れ能力が需要に応じ切れないという稀少価値が招く魅力もあるのかも知れないが,健康の保持ということに対する人心の機微に訴える何ものかが根本にあるとみてよいであろう。今日の医療機関における診療のあり方に一つの石を投じたことになる。その描き出した波紋が意外に大きかつたということは今までの医療関係者が見落していた盲点を世間が指摘してくれたことに他ならない。併し,この仕事は内容は何等特別なことはなくて結局は健康診断なのであるから,従来も断片的にはどこでも行われていたことである。専門医と必要な設備さえあれば,どこでも行われ得る筈だからである。併し,「人間ドツク」としてのミソは,その様な各種の健康診断法が組織的に且短時日に行われる,ということにある。こうなると話は又変つて来て,そのような診断は各種の専門家と診断設備がそろつており,その作業が正確且機械的に手順よく進められる所でなくては不可能であるから,どこでもやれるという筋合いのものではなくなる。
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