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Doctors' Taperecord
pp.65-67
発行日 1956年2月1日
Published Date 1956/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201072
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「タイムリー」
世の中の行為には,それぞれに絶対的の価値を評価出来る場合もあるが,むしろその時期,その時々の環境,客観条件によつて,価値に雲泥め差がある方が多い。ベースボールのタイムリー・ヒツトは,名のとおり,誰にでもわかることである。今医療界のみならず世を挙げて関心のもとにある新医療費体系,医薬分業,社会保険の赤字の三つについてもよくこのことが当てはまる様に思う。むしろ最もマイナスのタイムリーにかち合つた感じである。医師の技術料と医薬等の材料費を分離することについて大方の反対は少ない。又特別な例外の場合を除いて医師は医療技術を,調剤は薬剤師がということも永年の懸案で,正しく解決すべき問題であることも理解されてきている。一方日本の経済状態の下で,社会保険の経済を,正当に軌道にのせるべき必要性についても,誰しも考えているところである。ところが,この何れをとつても大改革である問題を,時を同じくして,一挙に解決しようというところに,ものごとを相互に混乱させ,互に悪く影響を与えている感じである。タイムリーとは,一挙にやるだけが能ではない。逐次因が果をなして,好影響を与えてゆく様に順序を選ぶことが最も大切なタイムリーというべきであろう。少くともこの三つの事柄を一定の間隔を置いて,タイムリーに処理して行けば,事情は一変するのではないか。
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