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我が国病院管理の現段階
小西 宏
1
1病院管理研修所
pp.9-11
発行日 1954年11月1日
Published Date 1954/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200884
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今年5月ジユネーヴで開催された第7回WHO総会に於て,我が国は西太平洋地域代表として常任理事国に選出された。これはWHO加盟以来,我が国としては無論初めてのことで,フイリツピンを始め他のアジアの加盟国の熟烈な推輓が大いにモノを云つたということである。
話は別になるが,この夏台湾の某省立病院長がアメリカから帰国の途次,日本の病院管理の現状を知りたい,と云つて病院管理研修所を訪れた。約半日に亘つて我が国の実情を話したり東一を案内したりしたのであるが,別れ際にこんな話があつた。自分はアメリカで1年間病院管理学を学んで来たが,アメリカと中国とでは風俗習慣を始め経済事情も大いに異る,従つて米国の病院管理をそのまま自国にとり入れることは適当でない。そこへ行くと日本で行われている病院管理ならば安心して真似ができそうに思う。台湾でも今後病院管理を推進させたいが,遙々アメリカ迄学びに行くのでは経費がかかつてやり切れない。若し,当研修所へ留学生を送つたら引うけて貰えるだろうか,というのである。勿論欣んで,と答えたものの内心忸怩たるものがない訳ではなかつた。この話は今の所これまでのことであるが,さきのWHOのこととも併せて考えて,吾々の背後にはアジアという後進地域が控えているということをもう一度想起せねばならぬと悟つた。
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