Japanese
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特集 小脳
小脳の解剖—その現段階
Recent Advance of Cerebellar Anatomy
萬年 甫
1
,
哈鴻 潜
1
1東京大学医学部脳研究所
pp.503-528
発行日 1959年4月20日
Published Date 1959/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901689
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小脳の形態学については古くよりすぐれた研究が相ついでいるが従来この方面の研究の集大成としてすぐれたものに,A.Jakobが1928年に出したMöllendorffのHandbuchの中の小脳に関する章がある。これはそれまでの研究の殆んどのものを尽し,おのれの所見をも豊富におりこんだ徹底したものであつた。しかしその後の研究も目ざましく,ことに近年の盛況は刮目すべきものがあり,ここ数年の間にも小脳に関する大部の著書がいくつか世に出ている。1940年頃よりのJansen等の小脳の繊維結合に関する研究は勤勉且つ執拗であつて,大綱はそれ以前の結果を確認する点の方が多いが新しい見地もひらいて居り,結実して"Aspects of cerebellar anatomy"の一著となり,更に最近彼等はJakob以後の研究をこぞる綜説をものした。また1920年代より現右まで小脳の系統発生の研究に徹したLarsellの努力も高く評価すべきものと思う。生即学,臨床医学に関係深いものとしては最近,Dow及びMoruzziの共著"The Physiology and pathology of thecerebellum"が現われた。またCajalの大著が出版されてからすでに50年余を経た。しかし小脳の組織学について彼を抜くものはいまだ現われていない。その観察の周到,意想の雄大はまことに範とすべきものと思う。
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