Japanese
English
総説
視床下部の神経結合の現段階—下行性投射を中心として
Hypothalamic Descending Connections
細谷 安彦
1
Yasuhiko Hosoya
1
1筑波大学基礎医学系解剖
1Department of Anatomy, Institute of Basic Medical Sciences, University of Tsukuba
キーワード:
hypothalamus
,
extrahypothalamic projections
,
descending pathway
,
spinal cord
Keyword:
hypothalamus
,
extrahypothalamic projections
,
descending pathway
,
spinal cord
pp.399-410
発行日 1992年5月1日
Published Date 1992/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900329
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I.はじめに
1975年と1976年に,相次いで重要な論文3編が出され,その内容はいずれもが,「脊髄へ投射する神経細胞が視床下部に存在する」と言うものであった28,47,66)。これらの結果は,西洋わさび過酸化酵素(horseradish peroxidase, HRP)法が神経結合の解析に導入されたことと大いに関係する。すなわち,新しい方法論の開発と導入が,視床下部の下行性神経結合に関する,これまでの概念を変えたのである。HRPを脊髄に注入すると,逆行性にHRPを取り込んだ(標識された)細胞が視床下部を含めた脳幹に広範囲に出現する。この時まで,視床下部の下行性投射は中脳レベルまでであり,この領域でニューロンを中継して脊髄へ下行すると言う考えが主流として認められていた。それ故に,これらの初期の3編の仕事はこれまでの考えに再考を促すものであった。これをきっかけに,視床下部の神経結合に関する研究が逆行性標識法としてのHRP法,順行性標識法としてのオートラジオグラフィー,そして,その後に導入された植物レクチン(Phaseolus vulgaris leucoaggutinin, PHA-L)を用いたPHA-L法,を駆使して精力的に行われた。この総説では,主に1975年以降に発表された研究を中心に,視床下部諸核の下行性投射について,脊髄への投射を含め,現在我々が持っている研究中の資料も加えて,解説することとする。
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