特集 ウイルス感染症の疫学
アルボウイルス感染症に関する疫学の現段階
大谷 明
1
1国立予防衛生研究所
pp.265-272
発行日 1962年5月15日
Published Date 1962/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202522
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1.アルボウイルス概観
アルボウイルス(節足動物媒介ウイルス)とは蚊やダニなどの節足動物とヒト,ウマなどの哺乳動物を宿主とし,これらの動物体内で旺盛に増殖するウイルス群と常識的に理解されるが1),現在この定義に矛盾がないわけでもない。現在のところ,世界でこの群のウイルスとして記されているものは,100種類余になる。これらのウイルス群を分類するのに血清免疫学的に分類するのが,恐らく最も合理的であり,またかなり成功しているが,報告される血清学的に多少異なるウイルスをそれぞれ独立のウイルスとして扱うか,またこのなかに多数の株変異の存在を認めるか,まだ渾沌としているのが実状である。立場を変えて,疫学の見地からみれば,流行における媒介者が似ているウイルスは,相互にかなり共通な問題を含んでいるので,媒介者の種類によって分類すると第1表に示す。
このなかで日本に現存し,またはかつて存在したと記載されるものを第2表にあげた。
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