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新醫療費体系について
厚生省医務局医務課
pp.2-8
発行日 1954年11月1日
Published Date 1954/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200883
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新医療費体系の意図するところは,医療に対して適正なる報酬を支払う方式を確立することであつて,医師,歯科医師,薬剤師の技術に対しては,その専門的技術に対するものとして適正なる報酬を支払うとともに,物に対しては物に対するものとしての対価を支払う原則をとるものである。これは現在の医療報酬の体系において,ややもすれば技術に対して支払わるべきものが,雑然として物の対価のうちに含め,支払われる傾があつたのに比較し,大きな相違である。
今回新医療費体系構想にあたり,前述の根本原則の外,これによる国民の総医療費負担の増加を来さぬことを前提とし,更に医師,歯科医師の所得にも原則として変動を来さぬよう配慮した。これら原則に従い本新医療費体系策定にあたつて,理想的な技術料の算定は将来の問題とし,現状において国民の負担に変動を与えずに,可能なものを第一歩とし,且つ又医薬分業の実施に必要なものを取りあげることとした。国民医療費の現状をみるに,その総医療費は年々増額しつつある。即ち昭和27年には約1,550億と推定されるものが,28年度においては約2,090億と推算され,約36%の増を示している。次に病院診療所における実態調査による診療の行為群別の收入と経費と比較して見ると,医師,歯科医師に対する報酬は薬治料,注射料,補綴料等が主な收入源となり,その反面その本系の業務である診療料的部門においては甚しい不足を示めしている事実を認めることが出来る。
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