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特集 Wilson病
わが国におけるWilson病研究の現段階と今後の問題点
AN EVALUATION OF THE UP-TO-DATE RESEARCH PROBLEMS ON WILSON'S DISEASE IN JAPAN
向井 紀二
1,2,3
Noritsugu Mukai
1,2,3
1東京大学医学部病理
2日本医大第二生理神経組織研究室
3東京都監察医務院
1Dept. of Pathology, Tokyo Univ., Neuropathology Section
2Dept. of Physiology, Nihon Medical College
3Tokyo Metropolitan Medical Examiner Office
pp.5-12
発行日 1963年1月1日
Published Date 1963/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201392
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I.はじめに
Progressive lenticular degeneration, Wil—son (1912), Hepato-lenticular degeneration,Hallとして,遺伝的負因に彩られた独特な肝脳相関を示す疾患の原型proto-typeとして半世紀にわたる興味をうけついできたWilson病は,今日にあつてもなお古くして新らたな多くの問題を含んでいることはここで縷述するまでもない。
近年,生化学的,組織化学的な新らしい技法が導入されるにしたがつて,わが国においても,最近数年間にWilson病発生機序に対する形態学は急速に進展しつつあり,これらの多角的研究の有機的な連繋によつて,いよいよWilson肝原説に強い支持を与える業績が脚光を浴びてクローズアップされた観がある。とくに,精神・神経症状をまつたく示さず,肝硬変のみを主徴とするAbdo—minal Wilson (Kehrer)の研究,Porto syste—mic encephalopathy (特殊型)の詳細な症例とその正当な視角によつて,Wilson病の顕著な独立性がふたたび明確な認識のもとに論議されるようになつたことは周知のところであろう。
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