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病院給食の管理法について(1)
矢野 眞琴
1
1國立都城病院
pp.25-30
発行日 1951年5月1日
Published Date 1951/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200319
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まえがき
昭和24年の春2ヵ月程病院給食の改善に努力し,其殘務整理の意味で今日でも1日1回はかならず炊事場に出入して檢食のかたわら運營を監督することにしている。最近はまた外部から學校給食の相談など持込まれ,その機構や在り方について考えて見なくてはならない場合が多くなつた。元來私は生理学の一部として榮養学の講義をしたことはあるが,實地の給食に關係したのはこれが初めてである。ただし中年から食物に對して特別な關心を持つようになり,このごろは非常に敏感である。それで榮養價だけの料理では到底滿足しきれず,團体給食にありがちな粗雜な料理にはしばしば不滿を感ずる。われわれの病院の給食も1年前に比較すると格段の差違があるとはいえ,まだこれで充分だというところには達していない。由來官廳の仕事はたとえわずかな設備の改善でも,おいそれとできあがることはまれであつて,炊事のような細密な工夫を積み重ねてできあがる仕事は比較的難儀を伴うものである。利達もあれができたらこれができたらと思いながら今日に及んでいるので,この完成にはまだ相當な日時を要すると思う。實際私の描く理想の半分も達せられていないので,今このような文章を發表するのは心苦しくもあり惜しくもある。しかし最近食糧事情の復奮と共に團体結食が復活し強化されたけれども,相當な賄費を使いながらきわめて粗惡な給食を行つているところもある。
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