特集 先端医療と病院
巻頭言
松田 晋哉
1
1産業医科大学医学部公衆衛生学教室
pp.513
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102811
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日進月歩の医学研究の成果をいかに速やかにかつ安全に臨床に応用するかは医療政策の役割の1つである.病院には先端医療に取り組むことで,より良い医療を提供すると同時にブランドイメージを高めるという目的もある.しかしながら,先端医療には経済政策・産業政策としての側面もあることから,経済的な不確実性や倫理的に検討するべき課題もある.本特集では先端医療について,医療政策および産業政策的視点,生命倫理的視点,病院の経営的視点といった多面的視点から検討した.
岩田論文では細胞シートを例として,先端医療研究の具体的内容が詳細に説明されている.これを一般臨床に広めるためにはCRCなどによる支援が不可欠である.CRCの重要性は広く認識されるようになっているが,それが本来の目的に沿って十二分に機能するためにはCRCを担う人材の育成,そしてそのキャリアパスへの配慮が不可欠であることを今井論文は指摘している.先端医療をめぐる競争は国際的に激化しているが,1つの組織が単独でその川上戦略・川下戦略をたて,また実行していくことは難しい.そこで,日本発の先端医療開発を進めるためのシステムとして石黒論文では「中部先端医療開発円環コンソーシアム」の概要が説明されている.日本全国への発展が期待される枠組みである.
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