特集 医療の質指標 新時代の幕開け
巻頭言
松田 晋哉
1
1産業医科大学公衆衛生学教室
pp.797
発行日 2015年11月1日
Published Date 2015/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209955
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2014年11月に公開されたOECDのレポート(Reviews of Health Care Quality JAPAN-Raising Standards-Assessment and Recommendations)では,わが国の医療制度に関して,医療の質評価に関する取り組みが遅れていることが指摘された.実際にはわが国でもすでに医療の質指標を活用する基盤は整いつつある.そこで本特集では臨床指標が今後どのように広がっていき,その結果としてわが国の医療提供体制にどのような影響を及ぼしうるのかについて有識者に論述していただいた.
わが国において体系的かつ一定の規模を持って医療の質評価事業を行うことを可能にしたのはDPC事業である.筆者らの研究班での取り組みなどが契機となって,種々の組織によってDPCデータを活用したベンチマーキング事業が2000年代に広がった.そして,この枠組みをさらに一般化したのが厚生労働省医政局の「医療の質の評価・公表等推進事業」である.伏見論文で詳細に説明されているように,国立病院機構がDPCおよびレセプトデータを活用して作成した一連の指標群が,他の組織,例えば済生会(田﨑論文)などでも採用され,わが国の急性期入院医療の質評価におけるde facto standardとなっている.もちろんこうした指標開発の背景には,小林論文で紹介されているような諸外国の動向の詳細な検討が行われている.
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