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今後,各地域で整備が進められる地域包括ケアネットワークでは,良質な回復期病床と療養病床の存在がポイントになる.そこで本号では,地域包括ケア病棟および療養病床に焦点を絞って特集を組んだ.
眞鍋論文では療養病床・地域包括ケア病棟の制度的位置づけが歴史的経緯を踏まえて記述されている.厚生労働省としては,療養病床については介護施設との関係性からより重度でかつ長期の慢性疾患患者の療養を,そして地域包括ケア病棟については多様な疾患を対象に軽度の急性期入院医療から在宅支援も含めたマルチな機能を,それぞれ重視してきたことが示されている.江澤論文では医療介護複合体をまちづくりの視点により経営している立場から,データに基づいて地域における医療機関の役割を再検討する必要性が論考されている.地域包括ケアシステムは「若者や子どもたちを含めた全世代のために構築されるものであることを誤解してならない」という提言は重要である.仲井論文では,地域包括ケア病棟を高齢社会において使い勝手のよい施設群と評価した上で,ポストアキュート,サブアキュート,周辺機能,在宅復帰支援の4つの基本機能のそれぞれについての現状と課題が,各種調査結果と自施設の経験を踏まえて説明されている.POCリハ,認知症対策,多剤処方への対応,栄養改善,患者フローのマネジメントなど地域包括ケア病棟の医療の質向上のための取り組みは参考になる.藤山論文では,回復期および慢性期の病床の機能を十二分に発揮するために不可欠な看護師とソーシャルワーカーによる連携の重要性が論考されている.待ちの姿勢ではなく,アウトリーチとして積極的に地域社会に働きかけていく姿勢が必要であることが強調されている.戸次論文では福岡県医師会の調査結果をもとに,療養病床の地域における役割の再評価が必要であることが述べられている.退院可能な患者は医療区分1の50%程度であること,しかもその条件である「家族の受け入れ」と「介護サービスの充実」が,地方では対応困難であるという指摘は重要である.また,在宅医療の提供可能性を地理的に分析した結果も興味深い.松田論文では在宅において認知症を合併したがん患者など難しい症例が増えていること,医療と介護とが双方向で複合化していることなどをデータで示し,緩衝帯としての回復期病床が重要であることを示している.
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