特集 病院が直面する「すでに起こった未来」
巻頭言
松田 晋哉
1
1産業医科大学公衆衛生学教室
pp.283
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210684
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少子高齢化の進行は傷病構造を変え,そして社会環境の変化や医療技術の進歩も相まって患者の受療行動を変化させる.日常生活で携帯端末を用いることが当たり前の状況になり,その使用方法もかつての閲覧中心のものから,SNSで見知らぬ者同士がネット上でつながる,Uberで配車予約を行うといったコーディネーション機能が中心となっている.こうした社会認識の変化により,ICTを活用した遠隔診断やチーム医療の提供が加速しつつある.本特集の小阪論文では,自治体レベルでICTの活用に積極的に取り組んできた島根県の事例「まめネット」が紹介されている.
超高齢社会では多くの者が何らかの障害を持って生きていくことになる.失われた機能をロボット技術を活用することで補い,障害者の自立に資するものにしようという期待が高まっている.しかしながら,陳論文では,そのために克服されなければならない課題が冷静に議論される.「個々人の残存能力を適度に引き出してくれる程度のロボットが,本来リハビリには必要」という指摘は重要である.
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