特集 重症度,医療・看護必要度 見直しの方向性
巻頭言
松田 晋哉
1
1産業医科大学公衆衛生学教室
pp.743
発行日 2020年10月1日
Published Date 2020/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211276
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高齢化の進展は,患者の病態像を複合化させる.医療と介護の複合化,急性期と急性期以後のケアニーズの複合化が,病床機能を問わず,いずれの病棟でも進行している.こうした患者のニーズの変化に対応して,看護サービスの経済的評価についても,構造や人員配置という外形的な基準のみから考えるのではなく,患者の状態像(看護必要度)の視点を加味して評価すべきであると考えられるようになった.このような視点から開発されたのが「重症度,医療・看護必要度」であった.
しかし,本特集で秋山氏が指摘するように,2006年度診療報酬改定において,患者の重症度や看護の必要度を加味しないままに「7対1入院基本料」が新設され,その後の大混乱を招く結果となった.今回の新型コロナウイルス感染症への対応で顕在化したように,急性期の場合7対1以上の人的配置基準を必要とする病棟が存在する.秋山氏が解説している「看護必要度の実情に応じた病棟間・勤務帯間の看護師の適正な傾斜配置の方法論」は,この問題を考えるためのヒントをくれるものである.
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