連載 世界病院史探訪・3
古代ギリシアの医神アスクレピオスの神殿
石田 純郎
1
1医療法人慈生会 介護老人保健施設くつろぎ苑
pp.423-424
発行日 2013年6月1日
Published Date 2013/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102534
- 有料閲覧
- 文献概要
アスクレピオスの神殿(Asclepion)は,欧米の医史学書では,病院のルーツとされている.紀元前4世紀から紀元後4世紀までの古代ギリシア文化圏に,600か所ほど造られ,古代ローマ文化圏にも受容されていた.
ギリシア神話の医神は,アポロン,その息子のアスクレピオス,孫娘である健康の女神ヒギエイアである.アポロンの専門は多様であるが,アスクレピオスは医の専業の神である.病人あるいはその代理人は,入浴して身を浄め,神殿でアスクレピオス像に病気の平癒を祈り,お籠り堂(病室)で眠りに就く.夢の中にアスクレピオスが現れ,治療してくれる,あるいは治療のヒントをくれる.ヒントは覚醒後,神官(アスクレピオスの神殿で,看護師の役割)に告げ,治療を神官から受ける.1晩から数か月間,神殿に滞在して,病人は平癒して,退院する.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.