連載 より良い高齢者終末期ケア体制の構築に向けて・5
米国の高齢者終末期ケアの動向④―終末期の意思決定(下)
岡村 世里奈
1
1国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野
pp.375-378
発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101692
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前回紹介したように,米国では,患者の希望する終末期ケアを実現するためには,事前指示(自分が受けたい医療について自分で判断することができなくなった場合に備えて,あらかじめ自分が受けたい医療内容について指示した書面や自分の代わりに判断してくれる者を指示した書面のこと)が有効であると考えられている.そのため,1980年代後半以降,米国では,各州でこの事前指示に関する法律が次々と制定されている.また,1990年には連邦患者自己決定法が制定され,医療機関や介護施設に対して,入院の際に患者に対して事前指示作成の権利があることを伝えること,患者が希望する場合には事前指示書作成の支援をすることなどが義務付けられている.
しかし,こうした法制度の整備にもかかわらず,米国の終末期医療やケアの現場では,事前指示が有効に活用されていないという報告が数多くされている.そこで現在,米国の終末期医療やケアの現場では,事前指示を有効に活用するためのいくつもの取り組みが行われている.そこで,今回はこれらの取り組みのいくつかを紹介していきたいと思う.
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