連載 より良い高齢者終末期ケア体制の構築に向けて・3
米国の高齢者終末期ケアの動向②―高齢者居住系施設入居者とホスピス給付
岡村 世里奈
1
1国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野
pp.219-222
発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101658
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前回紹介したとおり,米国では,近年,メディケアのホスピス給付を利用して亡くなる高齢者の数が急速に増えてきている.中でも,特に増えているのが,ナーシングホーム等の高齢者居住系施設で生活している入居者が,このホスピス給付を利用して施設内で亡くなるというケースである.米国連邦保健福祉省監察総監局(Office of Inspector General, Department of Health and Human Services)の調査によれば,2006年度にホスピス給付を受けた受給者のうち,ナーシングホーム等の高齢者居住系施設で生活していた者は全体の31%にも達していたという注1).
実際,筆者は,この何年間かかけて米国(イリノイ州)の中でも特に評判の高い高齢者居住系施設を15施設近く見てきたが,それらの施設の多くは,必ずと言っていいほど提携しているホスピス事業者があり,そのホスピス事業者と協力しながら施設内での看取りを行っていた注2).そして,これらの施設の関係者に話を聞くと,皆,「ホスピス事業者の協力なしに入居者の看取りを行うことは,体制の面からも質の面からも難しい」と口を揃えて言う.
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