連載 より良い高齢者終末期ケア体制の構築に向けて・9
英国の高齢者終末期ケアの動向②―「終末期ケア戦略」の概要(上)
岡村 世里奈
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1国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野
pp.726-728
発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101781
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前回述べたように,英国政府は2008年,英国初の包括的な終末期ケア施策である「終末期ケア戦略(End of Life Care Strategy)」を発表した1).この終末期ケア戦略は,年齢や疾患の種類,ケアの提供場所等にかかわらず,終末期を迎えているすべての英国民に対して良質な終末期ケアを提供していくことを目的としたものである.
ちなみに,この終末期ケア戦略に盛り込まれた内容は,国家癌対策長官を務めるDr. Mike Richardsを委員長とする諮問委員会やその下部組織であるワーキンググループが,民間の慈善団体等によるホスピスケアや,NHSのEnd of Life Care Programmeの内容を吟味し,また終末期ケア関係者との会議を重ねて1年以上の歳月をかけて練り上げたものである.
英国政府はこの終末期ケア戦略の実施にあたり,2009,2010年度の2年間で28,600万ポンド(約381億円)の予算を計上している.それでは,英国政府の進める終末期ケア戦略とはどのようなものなのだろうか.その内容は非常に多岐に渡っており,とてもそのすべてを紹介することはできないが,以下では,その主要点について紹介していきたいと思う.
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