連載 続クロストーク医療裁判・7
術後における緊急手術の決断時期―冠状動脈バイパス手術後腸管壊死死亡事件―最高裁平成18年4月18日判決の事例から
井出 正弘
1
,
千葉 華月
2
,
島田 英昭
3
,
落合 武徳
4
1東京地方裁判所
2北海学園大学法学部
3千葉県がんセンター消化器外科
4三愛記念そが病院消化器病センター
pp.636-641
発行日 2008年7月1日
Published Date 2008/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101242
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本連載は65巻3号~66巻2号に掲載した好評連載の続編である.裁判実務・法律・医療分野に携わる三者が,最高裁判決を事例に論点を解説し,多角的な見方を提供する.
5~7回は「術後管理と医師の過失」のテーマを取り上げている.7回目では,冠状動脈バイパス手術後に急性腹症(腸管壊死)を発症した患者について,緊急開腹手術を決断した時期に遅れがあったか否かが問題とされた事案を紹介する.
5回および6回でも見てきたように,術後管理を担当する医師には,時々刻々と体調の変動がある中で,多種多様な処置を求められるのであり,とりわけ,本件のように,緊急手術を必要とする合併症が疑われるものの,その確定診断ができないような場面においては,医師が取るべき対応を,事前に,一律に措定することは容易ではない.このような究極の選択を迫られるともいえる事例を通じ,最高裁判所が医師の過失をどのように判断したかについて検討する.
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