連載 病院管理フォーラム
■エクセレント・ホスピタルの条件を探る・2
医療現場を改善するとは,何をすることか
坂田 隆文
1
1中京大学総合政策学部
pp.176-179
発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101127
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●はじめに―医療現場における改善
企業経営に携わっていない方であっても,現在トヨタ自動車が販売台数世界一を視野に入れるほど業績が好調であることはご存知であろう.このトヨタ自動車の強みは「トヨタ(生産)方式」という表現で解説・説明されており,書店に行けば関連書を数多く目にすることができる.また,近年では,このトヨタ方式を異業種に導入しようとする試みが増えており,医療現場においてもトヨタ方式をした成果が紹介されつつある1~3).
本稿では,このトヨタ方式の中心概念の1つである「改善(あるいはカイゼン)活動」に焦点を当て,医療現場を改善するとは何をすることかを明らかにする手がかりを提示することを目的としている.この目的を果たすために,本稿では,改善活動が成功している事例として刈谷豊田総合病院の試みの一端を紹介している.
結論から先に述べるなら,医療現場を改善するとは,少なくとも以下の3つを行うことが求められる.第1に,医療現場を改善するとは,現状に対して効率性という観点から問題意識をもつということが求められる.第2に,その問題意識のもと,繰り返し「何故」を問い,その真因に対処することが求められる.第3に,改善を一過性の活動に終わらせることなく継続させること,あるいはそのための仕組みづくりが求められる.以降では,これら3点に絞り,医療現場を改善するとは何をすることなのかについて,順に説明していくことにする.
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