特集 個人の力と医療・社会
医療政策における中央政府と地方自治体のあり方
土居 丈朗
1
1慶應義塾大学経済学部
pp.30-34
発行日 2008年1月1日
Published Date 2008/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101095
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小泉内閣が行った国と地方の税財政改革「三位一体改革」により,国と地方の財源配分や役割分担は大きく変化した.地方分権が進み,税源が国から地方へ移譲された.その影響だけではないが,最近の経済情勢も相俟って,地域間格差の拡大にも関心が高まっている.
他方,医療政策においては,「三位一体改革」とは独立して,2006年の医療制度改革によって,2008年度から新しい後期高齢者医療制度が導入されるなど,地方自治体の関わり方を変える動きが始まっている.
本稿では,高齢化の進展が不可避である今後の医療政策において,国と地方がそれぞれどのように関わるべきかについて検討したい.結論から言えば,他の行政分野と同様,医療政策においても,国と地方の役割分担を明確にし,それぞれが行政権限と財政責任を十分に全うできるような体制を整備してゆくことが重要であることを述べる.
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