特集 個人の力と医療・社会
【鼎談】市場機能と中央・地方政府の役割,そして個人の関わり
加藤 秀樹
1
,
北城 恪太郎
2
,
河北 博文
3
1構想日本代表
2日本アイ・ビー・エム株式会社
3河北総合病院
pp.23-29
発行日 2008年1月1日
Published Date 2008/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101094
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
医療の量的な確保から質への転換
河北 1945年の敗戦後,復興の過程でつくりあげてきた日本の医療制度は,六十数年経った今,大きな改革の時期を迎えています.戦後すぐの日本社会は配給の時代であり,医療もそれに近い受け止められ方がされていたように思います.1961年に国民皆保険制度という,世界的にみても画期的な医療制度を実現しましたが,武見太郎氏は,「これで保険の奴隷になりさがる」と著書に記されています.武見先生自身は,生涯,自由診療を貫いた方ですが,皆保険制度により,提供者側も,利用者側も,自分で選択するということから遠ざかってしまったという一面があると思われます.
しかし今,自分の意思で自分の治療を選択していくべき時代を迎えています.今日は,医療行政のあり方と国民,また市場機能がどのように医療を育てていくのか,その背景にある個々人がどのように医療に関わるのかというあたりをお話しいただければと思っております.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.