連載 職場のメンタルヘルス・4
医療関係者の自殺
武藤 清栄
1
,
村上 章子
1
1東京メンタルヘルス・アカデミー
pp.594-599
発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100979
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1998年から日本の自殺者数の推移が変わった.それまでの2万人台からいきなり3万人台になり,2006年までの9年間で29万2,512人が自殺で亡くなっている.これは,わが国の死因の第5~7位を占めている.全自殺者に占める働く人たちの割合は約4分の1,そのうち,うつ病によると思われる自殺は約7割と推測されている.
自殺者を原因や動機別に捉えてみると,最も多いのが健康問題,そして生活(経済)苦,家庭問題,勤務問題,男女問題と続く.働く人たちの自殺を年代別に見ると,多い順に50代,40代,30代となっている.しかし最近では,30代の自殺者が急増している.国際比較してみると,日本の自殺率はアメリカの2倍,イギリスの3倍にもなっている.リトアニア,ロシア,ハンガリーなど旧社会主義国家を除いた,いわゆる旧資本主義国家では日本は最悪の状態であり,世界全体でも第10位となっている.2003~2006年に行われた厚生労働省研究班の調査によると,自殺した人やしようとした人の8割は,事前に家族や友人,上司などに相談していなかったことがわかった.しかも亡くなった人のうち,未遂歴のある人は1割程度で,9割は最初の自殺企図で亡くなっており,「覚悟の自殺」が多いという実態も明らかになった.
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