医療者に対する自殺予防教育

Education on Suicide Prevention for Medical Personnel

抄録

　日本では自殺問題が深刻化している一方で，医療者への自殺予防に関する教育機会は乏しい。そのような状況下で，いくつかの自殺対策に関する研修会が全国規模で定期的に実施されている。精神科医療者に対しては，自殺未遂者ケアに関する教育研修会が複数実施されており，うち1つは診療報酬要件研修となっている。また，精神科以外の医療者に対しては，診療報酬「こころの連携指導料」要件研修会や，自殺ハイリスク者への対応を学ぶ研修会などが実施されている。一般救急に従事する医療者に対しては，学術団体が主催する研修事業の一部に自損行為への対応が含まれている。今後は，医療者の卒前教育カリキュラムへの自殺予防教育プログラムの導入や，職種ごとに対応した多様な学習プログラムの開発と導入などが課題である。