特集 国民は医療をどう見ているか
患者の視点から見た医療の問題点―患者の声相談窓口での対応を通して
桜山 豊夫
1
Toyoo Sakurayama
1
1東京都健康局医療政策部
pp.24-28
発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100742
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■設置の経緯
数年前になるが,筆者が東京都内の医療監視を所管していた東京都衛生局医務指導課の課長をしていた頃,横浜市立大学医学部附属病院で,心臓の手術の患者さんと肺の手術の患者さんを取り違えるという事例が起こり,続いて都立広尾病院で,入院中の患者さんに誤って外用消毒液を点滴するという事例が発生して,医療に対する不信感が高まりを見せた.その当時から,医務指導課には都民(患者さん)の医療に関する相談や,医療機関への苦情が寄せられ,他に相談専門の部署もないので,医務指導課が対応していたが,このような医療不信が高まる傾向の中で,医療を受ける立場の患者さんやそのご家族と,医療を提供する立場の医療機関とが相互に信頼関係を構築するための一助として,専用の相談窓口開設の必要性を痛感した.
2000年8月にまとめられた東京都の第二次衛生局改革アクションプランには,知事の提唱する「東京発医療改革」の中の「患者中心の医療」を実現するための具体策の一つとして,「患者の声相談窓口(仮称)」の設置が位置づけられた.これを受けて,翌2001年4月に所要の組織整備が行われ,5月7日,患者さんからの医療に関する総合相談窓口としては全国で初ともいえる「患者の声相談窓口」がスタートした(当初,この相談窓口の名称については,相談者と医療機関との間の信頼関係構築を目的とすることから,「医療の架け橋」などいくつかの案が考えられたが,なかなか適当な名称がなく,結局「仮称」がそのまま正式名称となった).
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