鏡下咡語
医療相談の窓口から思う事
松原 宏
1
1日本専売公社東京病院
pp.218-219
発行日 1979年3月20日
Published Date 1979/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208878
- 有料閲覧
- 文献概要
NHKのラジオ放送で,耳鼻咽喉科の医療相談を担当させられて,かれこれ3年になるが,何回放送をしても,毎回40分の間,足の震える思いがしている。きわめて当然の事ではあるけれど,電話を介しての相談では,病気の実態を十分に把握し得るものでもないのに,限られた時間内に,相談を持ち込んだ相手に対し納得のいく説明をすると同時に,なおかつ質問者と回答者の言葉の遺り取りを一般の聴取者に公開している事は,取り上げられた病気に対する処置や考え方を敷衍して行く事も考慮に入れる必要があると云う事でもあり,もとよりそのような才のない浅学菲才の身,1日も早くお役御免を被りたい念に駆り立てられているが,放送を介して得た所感を述べてみよう。
相談の電話をかけて来る人は大変熱心なもので,放送当日は放送開始時間前から電話が入りはじめ,放送関係者はまだ定刻に至つていないのを断るのは毎度の事であり,さらに放送が終了して,次の放送が始まつていても,スタジオ内の受付電話に引きも切らずに相談の声が入つて来ている状態で,たつてのお願いという事で,放送外に直接電話でお話するのも,これも毎度の事であるが,僅か二回線の受付電話につながるのは,むしろきわめて難事の様子で,何回かけてもつながらないという苦情も来ているようである。
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.