特集 看護師のキャリアアップ
米国・英国における上級看護資格の現状とその意義
小林 美亜
1,2
,
池上 直己
2
1ニューヨーク大学教育学部看護学科
2慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室
1New York University,Steinhardt School of Education,Division of Nursing
pp.387-393
発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100610
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米国や英国をはじめとした先進諸国では,専門分化が進んだ医療に対応して上級の看護資格を与える教育プログラムの整備が進んでいる.このような上級看護資格の育成が進んだ理由としては,看護職の自立性の高まりに加え,従来医師が行ってきた業務の一部を看護職に委ねることによりコストを削減するという目的がある.本稿では,日本の専門看護師をはじめとした上級看護師の将来展望を検討する資料を提供するため,米国・英国における上級看護資格者の誕生の背景,教育,活動,評価,処遇について報告する.
米国における上級看護資格誕生の背景
米国では,1890年代より,病院や看護学校などで単独に開始された麻酔科,産科,手術室領域での専門的な知識と技術を持った看護スペシャリストの育成が,Advanced Practice Nurse(APN:上級看護師)の誕生につながった.APNには,Nurse Practitioner(NP:診療看護師),Clinical Nurse Specialist(CNS: 専門看護師),Certificated Nurse Midwife(CNM:助産師),Certified Registered Nurse Anesthetist(CRNA:麻酔専門看護師)という四つの資格が含まれる.現在,常勤換算のRegistered Nurse(RN:登録看護師,日本の看護師に相当)総数に占めるAPNの割合は約7%である(表1)1).
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