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今や「カウンセリング」の言葉は巷にあふれ,「癒し系」は時代のキーワードの一つになった.「心のケア」も高齢化の只中にあるわが国の社会にとって,欠かせない学際的な領域になりつつある.ましてや病をえた時,人が「心理的なサポート」を求めるのは極めて自然な行為であり,時代から説明する必要もないことである.その上,世の趨勢は病院にそのような機能を求めることを,当然のこととして認知しつつある.
ここで言う「そのような機能」がどのレベルを指しているのかについては,提供する側も提供される側も,個人によって,また状況によって様々であろう.カウンセリングのレベルも,精神療法から心理療法そのもの,あるいは表に示すソーシャルワーカーの役割の一つであるカウンセラーとして行うもの,さらにはカウンセリングマインドを持った行為全般を指すものなど多岐にわたる.
本稿では,ソーシャルワーカーが行う「心理社会的(psychosocial)」サポートを,カウンセリング機能として述べていきたい.
医療ソーシャルワーカー(medical social worker;MSW,現在では在宅支援センターと兼ねる者も多数おり,むしろ単にソーシャルワーカーと呼ぶことが多い)はいまだに全国に1万人弱しか存在せず,したがって配置率は1%を切っている.ようやくソーシャルワーカーを置く国立病院が増えてきつつある.地域によって,病院によって期待される役割は様々だが,本来病院におけるカウンセリング機能をもっぱら担ってきたのは,ソーシャルワーカーだったという自負はある.そこで本稿においては,簡単に歴史を振り返り,昨年改訂された「医療ソーシャルワーカー業務指針」を参考に,その仕事の実態に触れ,ソーシャルワーカーの行う「変わらないものへの変更を促さない支援」におけるカウンセリング技術の必要性について整理する.
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