特集 病院のカウンセリング機能
病院のカウンセリング機能
広井 良典
1
1千葉大学法経学部総合政策学科
pp.270-274
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100584
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「病院のカウンセリング機能」というテーマは,ある意味で非常に新しい話題であり,逆に言えば,これまであまり正面から論じられることのなかったテーマと言える.
ここで議論の混乱を避けるために,本稿でいう「カウンセリング機能」の大まかな意味内容ないし定義について確認しておきたい.病院のカウンセリング機能という場合,大きく言って,次の二つの意味を持ち得るだろう.
第一は,精神科領域における,精神医学(ないし心理学)などの知見をバックグラウンドとした(心理療法などの一環としての)カウンセリングであり,その限りで比較的限定された意味のものである.第二は,より広い,あるいは一般的な内容のもので,種々の疾患の患者が持つ様々な心理的不安や,退院後のことに関する社会的な悩み,あるいは家族が持つ多様な不安などに対し,「相談」といった形などを含めて行われるものであり,患者や家族に対する「心理的・社会的サポート」と言い換えてもよい内容のものである.
このようにカウンセリング機能という言葉は広狭様々な意味を持ち得るが,本稿では主として後者の(広義の)意味で用いることをあらかじめお断りしておきたい.
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