特集 医療と経済格差
日本社会における格差問題をどう捉えるか
大石 亜希子
1
1千葉大学法経学部総合政策学科
pp.614-618
発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100346
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本年 2 月の衆院予算委員会で格差を巡る集中審議が行われたり,厚生労働省の本年度「労働経済の分析」(労働経済白書)でも格差問題が取り上げられたりするなど,格差問題についての社会的・政治的関心が大きな高まりを見せている.
振り返ってみると,これまでにも何度か格差問題が注目された時期があった.例えば 1980 年代末のバブル最盛期には,フローの所得よりも,株や土地といった資産保有における格差が大きく取り上げられた.また,橘木俊詔・京都大学教授の著書『日本の経済格差』1) を発端とする 1990 年代末の「経済格差論争」では,国際的にみた日本の不平等度の位置づけが議論の中心となった.これらの過去の議論と比較すると今回は,人口高齢化が所得不平等度に及ぼす影響や,若年層における所得格差の拡大が注目されているという特徴がある.
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