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『病院醫師の活動を阻むもの』反駁
米持 栄次郞
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1国立高田病院庶務課
pp.28-31
発行日 1950年4月1日
Published Date 1950/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200125
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「病院」誌上,昨年十月号尾村偉久氏は「病院管理の諸問題」と題する論文中で「病院長が病院経営に専念できないところから,事務長が所謂大物と自認し診療内容の向上を妨げ,診療部門の幹部の不満をかい,院長の管理が満足に行われない,所謂事務長独裁というたぐいのものである」と言われているが,このようになるというのは院長が無能なのか,事務長が悪いのか,それとも院長に診療に従事させる制度が悪いのか,をうかがつてみたい。
事務長にその弊があるとすれば,これを阻止するも,放任するも院長の考え一つによつて左右できるものであるまいか,事務長が出しやばりすぎる,やりすぎるというように医局員をして感ぜしめるような室気をつくつたとすれば,それは無能な院長が都合の悪いところは事務長に責任を被せており,こんなことを屡々反覆しているものに外ならないのではあるまいか。勿論要領の悪い事務長もあるかもしれぬし吾々も時には失敗することはあるが,こんなことは稀のことである。医官側ではどうもこんな室気を感じているらしく,昨年12月のS生の論文「病院医師か活動を阻むもの」と題する長文は似たようなことを取扱つているが若干の施設にある例を以て全国病を推し当てて院長所長がみなそうであり事務長もそうであるというような公式的一般論のような観察されていることは,吾々の洵に遺感とするところである。それと共に院長や副院長を侮辱するものではあるまいか,そこで私はS生の論文を反駁して所信を明らかにせんとするものである。
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