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Ⅰ.序論
リハビリテーション医療の分野でADLのもつ意義は重要である.リハビリテーション医療,特にリハビリテーション訓練の目標は,ADLの自立にある.すなわち,ADL評価は,患者の重症度の把握,訓練方針の決定,予後の予測において最適なテスト法である.大川1)は,ADLとその総合的な評価を中心に,主としてアメリカにおける最近の評価に対する考えかたを紹介している.我が国においても,安藤2),長尾3,4),堂前5,6)らによって,ADL評価成績について,多変量解析を含む種々の統計的解析による結果が報告されている.しかし,ADLを構成する所作活動の範囲は広く,即臨床に応用しうるものは少ない.ADL評価の検査項目は,疾患別・療法別にその内容は限定される.特に理学療法の分野では,杉元7),武政8),によって指摘されたように,ADLテストでは基本動作群の動作分析が重要である.一般に,病院・施設で使用している評価用紙は,該当欄への記入のみで患者の障害像をイメージ的にとらえ難い感がする.一昨年より,当院では汎用パーソナルコンピューターを用いて,患者データの集積およびリハビリテーション回診用の報告書作成を行い,単にデータが机上に山積みされるのではなく,種々の統計処理を行うことで多方面に活用している.脳卒中患者におけるADL評価管理プログラムを作成し,患者のADL変化を多変量グラフ解析法(折れ線グラフ,レーダーチャート,Chernoffの顔形グラフ)を用いて視覚的にとらえ,さらに時系列分析にて個々の症例のADL機能の予後予測を行ってきた.今回,160症例の回復パターンより,任意に10本の回復曲線を算出し,ADL評価・予測図を作成したので報告する.なお,使用言語はBASICであり,機種はPC-9801VM,VXである.
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