書評
リハビリテーションの思想 人間復権の医療を求めて―上田敏(東京大学教授)〔著〕
砂原 茂一
1
1国立療養所東京病院
pp.186
発行日 1988年3月15日
Published Date 1988/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103988
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これは著者がリハビリテーション(リハと略す)の理念を扱った二番目の著書である.前著『リハを考える』ではいささか肩肘を張っていたし,理論が理論として扱われていた趣があったが,本書では理論がいちいち具体的な事実,事例によって豊富かつ適切に裏打ちされているから,たいへん理解しやすいだけでなく,直ちに日常診療の指針として役だつと思われる.理論を扱いながら同時に実用書としても有効に機能するというのは著者の腕前であろう.油の乗り切った,臨床の修羅(しゅら)場で縦横に活躍を続けている実践家の著書には理論を説いてもそれだけの臨場感があふれるものである.
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