書評
『精神を病むということ』―前松沢病院院長 秋元波留夫 東京大学教授 上田敏著
木村 敏
1
1京都大学精神医学
pp.354
発行日 1991年5月15日
Published Date 1991/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103278
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本書は,我が国の精神医学の最長老である秋元波留夫氏に,リハビリテーション医学の椎威である上田敏氏が,精神医学の過去・現在・未来について質問し,秋元氏がこれに答えるという形式で書かれている.対談であるから非常に読みやすく,しかも要所要所では秋元氏が後から丹念に筆を入れて,学問的にも正確な内容が述べられている.
すでに4半世紀前に東京大学教授を定年退官された秋元氏が,その後も臨床の第一線に立って,精神医療,特にリハビリテーション精神医学の向上に努められただけではなく,何よりもまず,精神を病む患者とその家族に対する社会的偏見の除去に向けて現在もなお余人をもって代え難い貢献を続けておられることに,私は日ごろから深い感銘を受けている.この感銘は,本書を一読してますます強いものとなった.
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