とびら
旅をして
伊東 元
1
1東京都老人総合研究所
pp.3
発行日 1987年1月15日
Published Date 1987/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103708
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初夏の頃に中国を旅行する機会を得た.飛行時間3時間程で日本と隣り合い,長い交流の歴史を持つ国.地球上の人類の約4人に1人はこの国の人であること,そして一般的にみれば平均寿命はその国の生活水準と強い相関関係を持つといわれるが,所得水準が低いにもかかわらず東欧・中欧諸国と同じ平均寿命の水準にある国.この程度の知識しか持ち合せないで日本を離れた.最初に出会った戸感いは,大地に舞い降りる時から始まった.それは滑走路に車輪がついているにもかかわらず速度が一向に衰えず,いつまでも走り続け減速する気配をみせないことであった.日本の狭い滑走路ではすぐに減速体制に入り,止まるはずなのに.恐怖を感じる.やっと停止して,ひと呼吸おいてから,広い国なのだと実感する.
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