コーヒーブレイク
旅の中で
屋形 稔
1
1新潟大学
pp.1767
発行日 1997年12月15日
Published Date 1997/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903596
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6月下旬から7月.上旬にかけて梅雨のじめじめと暑苦しい日本から,涼しさを期待してヨーロッパへ出かけた.デュッセルドルフは緑豊かで過ごしやすく,コモ湖畔は遠くアルプスの雪を望み静寂で美しかった.しかし,ウィーンやミラノは日本と変わらぬ暑い日射しで,ミラノは折しも世界ファッションフェスティバルとかで格好よいモデルたちが街を歩き,眺めはよかったが何ともざわついていた.特に悪名高いアリタリア航空は出発直前に都合によりフライト中止ということで,不愉快な経験もした.
この時は高知識のS教授という豪の者から,り帝国したらその足で瀬戸の臨床化学会夏ゼミに来てしゃべるように命じられていたので,往復の飛行機の中はもっぱら原稿書きで退屈もしないですんだ.学会のメインテーマは"臨床化学よ目的を定めよ"という,ある意味では混沌たる斯界の現状を反映したものであった.当初は,臨床検査の年々厳しさを増す環境を考えて,種々の問題点を取り上げてそれに対処する方策を論じねばと考えていた.しかし,"臨床化学会は学術団体で職域団体ではない"と言っていた弟子のY君の言葉を思い出し,学問的悲観論に対しての意見を述べるべきとするに至った.
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