あんてな
輸入リハビリテーション機器の現況
大喜多 潤
1
1兵庫県玉津福祉センター
pp.850
発行日 1986年12月15日
Published Date 1986/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103694
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最近リハビリテーション関係の広告に輸入機器が目につく.20年程前は,リハビリテーション関係には,まだまだ手の付けられていない時代で,手作り,特注品,それに一部に高価な輸入品が散見される程度であった.しばらくして,それらのコピー版のようなものが出回るようになった.義肢装具にしても小児用パーツをはじめとした特殊パーツやプラスティック材料,骨格義足のユニット,ファンクショナルハンド,電動義手ユニット,肘継手,手先具etc.が,ぽつぽつと海外から取り寄せられていた.福祉法によって定められている交付基準価格表があい路となって価格的に見合わなければ,必要がないかぎり敬遠され数量的に増えることはなかった.ある義肢装具メーカーの代表者が米国の同業界を視察して,“同じ物を作るより買って売るほうが楽,製品化するのに現状ではとても太刀打ちできない”と言ってたように質,量,共に国産品は一歩譲っていた.しかし一方で輸入した材料がmade in Japanだったことが一度ならず二度三度とあったことを考え合わせると,研究開発を含め商品化する段階と,消費者の情報不足のいずれにも問題がある.
先頃隣の韓国で行われた学会で,韓国産の車椅子その他の機器が展示され高い水準のものだったとか聞くにつけて,リハビリテーション機器も“衣料品”と同様に安価な輸入品が国産品を駆逐する日もやってくるのでないかなどと思いを巡らしたりもする.
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