書評
―二木立(日本福祉大学教授・前代々木病院リハ科)―医療経済学 臨床医の視角から
砂原 茂一
1
1国立療養所東京病院
pp.142
発行日 1986年2月15日
Published Date 1986/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103517
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これはユニークな書物である.
世界のどこでも医療費が高騰して国家財政をおびやかすものだから経済学の専門家が医療経済研究に乗出すし,一方病院倒産時代を迎えて医療機関の管理者がなれない手付きで計算器を操るようになった.しかしこの本の著者は病室,外来,機能訓練室,図書室などの間を毎日忙しげに走りまわっていた中堅の臨床医であるから視角はおのずからこれらとは異なるのは当然である.序文にも明らかなように著者は経済学者たちの扱い慣れたマクロ医療経済学と彼らの眼のとどかないミクロ医療経済学を同時に押えようと試みる.そしてそのために刻苦勉励して手に入るかぎりの資料,文献を収集している.医師の給与水準を推定するために日本医事新報の求人広告を利用しているなどはその一例であって旧著「世界のリハビリテーション」で発揮された情報収集能力はここでも大いに物をいっているように見える.
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