連載 買いたい新書
日本の医療費—国際比較の視角から
一戸 真子
1
1東京大学医学部保健社会学教室
pp.652-653
発行日 1996年7月1日
Published Date 1996/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905129
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医療の質の向上は医療費引き上げなくしては語れない
「質の高い医療を提供しなければならない」,あるいは「医療の質を引き上げなければならない」といった議論は最近よく耳にするが,具体的な解決策が提示されているものは少ないように思われる.しかし,本書は,日本における医療の質を引き上げるためには,なによりもまず「世界一」厳しい医療費抑制政策を見直す必要があるとし,この大きな命題の論拠を実に詳細な実証的かつ文献学的検討を統合させた分析を行なうことによって明らかにしている.
全体としての著者の主張は一貫している.医療費問題に関し,これまで常識化されてきたと思える認識が,実は深く検証してみると逆の事実であったり,誤認であることが多々あるということである.著者いわく,「複眼」でみることが重要なのである.
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