書評
二木 立(日本福祉大学教授・前代々木病院リハ科)―医療経済学 臨床医の視角から
福井 次矢
1
1国立病院医療センター・循環器科
pp.923
発行日 1985年12月10日
Published Date 1985/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105501
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つい最近まで,米国でプライマリ・ケア内科学を学びながら,私は,日米の医療の基本的な相違点は一体どこに起因するのだろうか,と考えつづけた.数字(診断過程や予後推定における確率)を好んで口にする症例についてのディスカッションからはじまり,診断や治療決定上の効率性重視,頻繁にカンファランスで扱われた医療政策や医療経済学など,かなりの部分は医療と社会経済の接点にある学問の導入による差違であろうと思わざると得なかった.日本の医学教育と医療のなかで,たいした問題意識もなく育った私は,外国の医療を直接体験するなかで,社会経済的背景(マクロレベル)の違いが,ひとりひとりの医療従事者(ミクロレベル)の行動や考え方にこれほど大きな影響を与えることを身をもって知ることができたと言える.
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