特集 理学療法と作業療法20年の歩み
<随想>
私の歩み
宮本 重範
1
1札幌医科大学衛生短期大学部
pp.32
発行日 1986年1月15日
Published Date 1986/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103483
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私が理学療法士として歩んで来たこの16年間を顧みると,その中の11年間は海外生活であり,生き方についても,PTとしての知識や技術に関しても米国やカナダでの体験が現在の私の糧になっているような気がする.昭和46年12月27日,未だクリスマス気分のさめやらぬクリーブランド空港に降りたったのがつい先日のように思い出される.
九州リハ大の学生時代は今日のように洋書以外はPTの専門書もなく,専門科目は総て米国人による授業だったので講師も学生も費やしたエネルギーは大変なものであった.しかし,この苦労の時期が過ぎた頃には,またどうしても本場の理学療法をこの目で確かめたいという気持が高じアメリカへ渡った.福屋靖子,鎌倉矩子の両先輩に続いてHighland View HospitalのPT卒後研修コースに入り得たその時の喜びと緊張感はひとしおであった.この病院はCase Western Reserve大学の教育病院でもあり,また米国のリハビリテーション医学のメッカでもあり系統的な総合リハビリテーションについて学ぶことが出来た.当時,Long教授の下には荻島先生に次いで石神先生がリハ医として研修されておられ,先生の精力的な研究姿勢に大いに刺激された.嬉しいことには,数か月後に当院での短期研修のため細田多穂氏も加わり,日本のPTの将来構想について論議を交える機会を得た.その時の情熱が今日まで細田多穂氏を協会の牽引車として走らせ,私を教育畑へと方向づけたのかもしれない.
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