特集 理学療法と作業療法20年の歩み
<随想>
私の歩み
松沢 博
1
1神奈川県衛生部保健予防課
pp.31
発行日 1986年1月15日
Published Date 1986/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103482
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理学療法士としての20年の歩みを振り返るとき,どうしてもその思いは東京・清瀬町(現在は市)の松林に囲まれたリハビリテーション学院につながる.昭和38年5月1日の入学式の様子はすでに紹介されたことであるが,砂原茂一学院長が古い岩波文庫の「蘭学事始」をとり出してその一部を朗読された場面であり,また,昭和41年3月の第1回卒業式での“パイオニア精神を忘れずに……”の言葉である.新入生の多くがそうであったと思うのであるが,私も理学療法やリハビリテーションということを目で見て確かめ,人に問い理解を深めることもできないまま,新しいものへの希望とともに大きな不安を同居させながら入学式にのぞんだ.古い木造の建物を改造した教室一つと事務室一つ,正面入口を入って右に折れて教室へ,左に折れて襖で仕切られた学生宿舎,窓を開くと隣はボイラー室,わが国で始めての養成校誕生であったが,意欲をかりたてる雰囲気,環境とは全くかけはなれた場に立たされて,いったいこれからどうなることなのか……,新しい事の始まりとはこんなものなりかとも思った.
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