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第10回「理学療法と作業療法」賞・受賞論文
準入賞:退院後片麻痺上肢機能の長期継続変化と社会生活状況
Long-Term Changes in Hemiplegic Arm Function After Hospital Discharge and the Social Environment
前田 佳子
1
,
松葉 正子
1
,
内潟 雅信
2,3
Keiko MAEDA
1
,
Masako MATSUBA
1
,
Masanobu UCHIGATA
2,3
1虎の門病院リハビリテーション部
2虎の門病院神経内科
3公立昭和病院神経内科
1Dept. of Rehabilitation, Toranomon Hospital.
pp.869-875
発行日 1985年12月15日
Published Date 1985/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103468
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はじめに
脳卒中による片麻痺患者の多くは,運動麻痺と共に感覚や高次脳機能の障害など多様な後遺症が残る.そして入院での訓練が終了した後は,病院から家庭や職場などへと社会生活場面を変え,障害と共に不安を抱きながら生活してゆくことになる.そこで当院では,毎月第3木曜日をフオローアップ外来日とし,入院訓練を終了した患者の運動機能や社会生活状況のチェックと指導を行っている.
片麻痺患者における退院後の運動機能の変化と日常生活動作(ADL)に関する実態調査の報告は多い1,2,3).しかし,片麻痺患者を継続的に経過を観察し得た報告は,著者らの調べた限り見受けられない.当院のフオローアップ外来では,発症後3年までの間,通院してくる症例が大多数であり,発症後3.5年以上の長期にわたり経過を観察し得た片麻痺は7例のみであった.また,一般に上肢の回復は下肢より遅れ,長期間要すると言われている4,5)この7例中に4年以上も上肢機能の改善を示した症例も含まれている.
今回,我々は当院のフオローアップ外来で,発症後3.5年以上にわたり継続的に経過を観察し得た脳卒中による片麻痺7例の,上肢機能の変化とその改善に及ぼす社会生活要因について検討したので報告する.
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