対症看護講座 精神神経症状
知覚・運動の異常と麻痺
外川 清彦
1
1東京都立荒川産院
pp.18-20
発行日 1966年7月1日
Published Date 1966/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203221
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はじめに
このごろ医療面に対して世間の注目・発言が活発で,風当たりが強いからこの際補強工作をすべきだと考える医界人,我関せず焉としたり,ないしは派手な行動を慎しむ医人たちもあるが,筆者は普段から次の3つのSを反省して業務に専念していれば,泥繩の愚に陥ったり,非難を浴びたりしないはずだと考える.3つのSとは先輩によって紹介されたアメリカの格言?で,study, sincerity,およびserviceの三大徳目である.
こんなことを書きつけるのはこれから述べる事項ときわめて関係があるからで,主題について考察するにあたり,知覚の異常というも,運動の麻痺と称するもこれらは「○○病」「××疾患」と独立して扱う病変ではない.換言すればある婦人たちに妊娠中に随伴的にあるいは偶発的に,たいてい一過性に出現した全身的にか局所的にかの違和失調症候と一括すべきもので,はじめから運動麻痺が高度にある人が結婚したり,さらに妊娠する事実は世間常識からきわめてまれであろう.となると主題の妊産婦を取扱う助産婦諸姉の人間・人格が手技・薬剤に優先する理屈で,医業の根本理念に徹する覚悟がまず要求される.
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