特集 QOL(クォリティ・オブ・ライフ)
QOLの向上を目指して
自立生活においてのリハビリテーションとは
小山内 美智子
1
Michiko OSANAI
1
1札幌いちご会
pp.529
発行日 1985年8月15日
Published Date 1985/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103381
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人間にとって「本物のリハビリ」とは一体何なのかと考えるとき,私は幼い頃からの生活を振り返って考えてしまう.脳性麻痺である私にとってのリハビリとは,4歳頃から母の目を盗み,足指を使い粘土や積木で遊んだときであろう.母は,手の訓練だと言い,机の上に一杯おもちゃを載せで畑へ出かける.母の姿が見えなくなると,これ幸いとばかりにわざと柱の上のものを落す.そのことに母は怒って,足指に包帯を巻き,靴下を何枚も履かせた.しかし私は,それを取ることを覚え,足指はますます器用になった.
9歳で学校付の施設に入った.広い食堂で手の便える子はいただきますと言ったか言わない内にごはんを口へほうりこむ.手の使えない仲間達は,職員の回ってくる順番を生唾を飲みたがら待っている.ある日,私は待ちきれなくなり,ラーメン井に顔を入れ,口だけでラーメンを食べた.食べさせてもらうよりはるかにおいしく,満足であった.しかしそのことが職員にみつかり,往復ビンタをやられた.「ネコみたいな真似はやめなさい!」と.
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