あんてな
自立生活運動の展望
今岡 秀藏
1
1八王子自立ホーム
pp.552
発行日 1983年8月15日
Published Date 1983/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102911
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最近多くの障害者やその関係者,あるいは専門家,行政関係者の間で「IL」という略語が飛びかっている.言うまでもなく自立生活(Independent Living)の意味であるが,これは近年米国各地で職業的自立が困難な障害の重い肢体不自由の人々自身によって展開されてきた運動の目標である.
戦後,傷夷軍人の救済から始まったわが国の身障福祉対策が米国の職業リハビリテーション技術の導入によって発展してきた中で,脳性マヒや幼いときから重い障害を負う人々の社会的ハンディの深刻さを受けとめ得る施策はほとんど行われてこなかった.これらの人々は身障福祉から落ちこぼれてきただけではない,社会保障においても,戦後生活保護が国民の生存権を保障するものとして位置づけられながら,実際にはむしろ大多数の国民の支持のもとに社会保険システムの公的年金制度の発達によって確立してきた権利としての所得保障制度からも排除され続けてきた.
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