特集 QOL(クォリティ・オブ・ライフ)
QOLの向上を目指して
コンピューター・プログラマーとして働いている自らの体験から
小野 誠
1
Makoto ONO
1
1頸損連絡会
pp.530
発行日 1985年8月15日
Published Date 1985/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103382
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私は昭和49年車にはねられ,2年半の治療・1年半のリハビリテーション訓練を経た後在宅で生活している頸髄5・6番損傷の頸髄損傷者である.残存機能は,上腕三頭筋が右3+・左1,手首の背屈が右5・左4,同掌屈が右水平まで・左0ということで,入院中のADL訓練と住宅改造によりかなりの動作自立をしているが,それでもトイレでのグリセリン挿入や湯舟から出る際などには家族の手を借りざるを得ない.
退院後,当然のように仕事をしたいと考えていた私は,仲間の多くが生業としている和文タイプの技術を身につけたいとタイプの通信教育を受けた.また徒歩10分のところにある高等職業訓練校(身障トイレ・エレベーター有り)に入校すべく職業安定所に申し込んだが,適性テスト(なぜか障害者のみ適用)での「作業スピードに問題あり」との判定により入校不許可となった.一方,身体障害者職業訓練校や授産施設は,通うには遠すぎて体力的に問題がある,ADLが完全自立していない,週2回の排便毎に延半日程の時間がかかるなどの理由で断念せざるを得なかった.
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